香 港 視 察 報 告 
 1月14日から17日まで、香港特別行政区政府駐東京経済貿易代表部の招聘により、高木美智代衆議院議員と共に香港を訪問し、政府機関の各部局の長の皆様や、日本と香港の交流に尽力されている民間の責任者の皆様、そして立法議会の議員の皆様と直接お会いし、意見交換をするとともに、今後もお互いに、日本・香港の友好拡大に協力するよう、信頼関係を築いてきました。
 会談の要旨を報告します。

 1月14日
 16:20 成田発のキャセイパシフィック航空521便にて、香港へ。
 21:30(現地時間20:30)香港着 沼田幹夫主席領事や、政府新聞処のグレース・ヤングさんらが出迎えてくれました。
 空港から30分弱で、宿泊先のグランド・ハイアットホテル着。途中、24時間オープンの香港の港湾施設を見て、「日本はとても勝てない」と。

 1月15日
 9:15 香港特別行政区政府 新聞処(Information Services Department)のアシスタント・ディレクターのマリー・レンさん(MrsMary LEUNG)より、今後のスケジュール全般について説明を受ける。(写真1
 このポジションに来る前は九竜に文化地区を造るプロジェクトを担当していたが、「六本木ヒルズに学べ」ということで、森ミュージアム等に香港のマスコミ関係者が学びに行っている。2004年ビザ無渡航が可能となって以降、日本への観光客が増えているとの話が印象的でした。

写真1 写真2

10:00 アレックス・フォン(Mr.Fong Chi-wai、Alex)香港総商会 CEO(Chief Executive Officer、HongKong General Chamber of Commerce)と面談。(写真2
 彼は、2005年1月まで駐東京経済貿易代表部の首席代表をつとめていて、何度もお会いしていたので、大変なつかしく、又、ざっくばらんに様々な質問に答えてくれました。
@97年以降、2002年のWTO加盟で、大陸の会社を外国に出していく通路に香港の役割が変わってきた。今後10年で、中国は米国に追 いつく。
A一国二制度、基本法、普通選挙について、大変分かり易い説明を頂いた。
B大陸の不良債権処理は、公式的にはクリーンナップされたという事だが、実際の数字の入手は困難。ただ、四大銀行等が香港市場に上場することで、現代的なマネージメント、透明性等が要求されるので、変わらざるを得ない。
C人民元の香港ドルに対する優位性に関して、急激ではなく管理されたやり方で行っている。日本の誤りから学んだ。と笑って話された。
D米ドルとのペグ制について、ペグなくしたら、どうなる?他に選択があるのか?1米ドル=7,8香港ドルというのは誰でも分かり易い。
E香港の政治システムはまだ未熟。これまでの投票パターンを見ると分かる。政党ではなく、イシューに対し投票している。5月に来日の予定があるとの事。



11:15ジョセフ・ヤム(Mr.Joseph.YAM)香港金融監理局(Hong Kong Monetary Authority)総裁(Chief Executive)と面談。日本でいうと、日本銀行総裁と金融担当大臣とを兼ねた立場になるとの事。(写真3 中央
玄関に金の豚と、お年玉を入れる赤い封筒が飾ってあり笑ってしまいました。日本は亥年ですが、中国では豚年といい、豚はお金を持ってくると云われているとのこと。(
写真4
@金融政策、銀行に対する監督、香港金融のインフラ、国際金融センター機能、外貨準備等について、大変わかり易く説明頂き、大学で 講義を受けているかのようでした。
A中国は、第11次5ヶ年計画で、金融のメカニズムを造る。香港のシステムも活用できるので、中国は、2つの金融システムを使える。
B中国の銀行システムは変化してきている。問題はあるが、一つづつ解決している。蓄積した不良債権は、新しい資金を注入して解決した。問題は、新たな不良債権をつくらないこと。コーポレートガバナンスが大事になる。
C中国の銀行が香港に上場すれば、国際的な条件を満たす必要がある。市場の規律でやらなければならない。中国の銀行の株は、外国人の所有が25%以内に制限されている。個々には20%しか認められない。これを拡大する必要がある。
D米ドルとのペグ制について、23年続いたシステム、香港のビジネスサイクルは米国の周期に近い。大陸とではない。人民元は交換性がないし、準備金になる通貨でもない。
E大陸の貯蓄40%上回る。外国の資金はいらない。ただ、中国内で投資・資金運用したい人が、現在は、香港のシステムを使えない。
 香港のサービスを提供できると、考えている。
 日本食が大好きで、オペラを聞きによく日本に来られる、との事。

写真3 写真4


12:30Lunch−cum−meeting
政府エコノミスト KCクオック(KC KWOK)氏と、総部政制事務局 内地事務連絡弁公室のオフェリア・ツァンさん(Ms Ophelia TSANG)がお相手をしてくれました。ニワトリの足がいきなり出てきて驚きましたが、ゼラチン質が多く、柔らかくておいしかったです。香港経済全般にわたって、エコノミストらしい分析で説明して頂きました。


14:30 アルバート・ラム(Mr Albert LAM)香港政庁財経事務及庫務局副秘書長 (Deputy Secretary for Financial Services and the Treasury)と面談。(写真5 右から2人目)銀行・証券・先物を担当
@「市場がリードし、政府は容易にする」との基本姿勢について、様々な数字をあげて説明。
A大陸の企業が国際的な企業としてやっていくには、コーポレートガバナンスが重要。
BCEPAによって、プロフェッショナルが大陸で仕事ができるようになった。
C上海との関係を尋ねたところ、上海とは協力してやっている。上海は巨大な国内金融センターである。中国市場は巨大だから、センターは2つ必要。



15:45 香港計画・インフラ展覧館視察(写真6
クニー・ウォン(Ms Queenie WONG)館長の案内で、香港の今後10年間のインフラ計画の説明を受けました。マカオまで、35kmの橋を架けるという発想には、本当に驚きました。



19:45 佐藤重和香港総領事にお招き頂き、シーフード・レストランで、在香港の日本企業のTOPの皆様と、会食させて頂きました。(写真7
三菱東京UFJ銀行の荒井さんが、私と同じ年で、同時期に一橋大学に在籍していたことが分かり、学生時代の話で盛りあがると共に、野村證券の郷さんが、私と同じ千葉県銚子市生まれとの事で、不思議な御縁に大変驚きました。
 富士ゼロックスの徐さんも含め、皆さんのお話は大変示唆に富むもので、特に、銀行と証券を同一企業で行わない限り、香港ではBig Businessをみすみす見逃すことになるとの指摘は、なる程と思わせる説得力がありました。今日お会いしたジョセフ・ヤム総裁の給料が1億5000万円と聞いて、またまた驚かされました。

写真5 写真6 写真7
 1月16日
9:00 エリカ・フィ(Mrs Erika HUI)汚職取締独立委員会局長(Director of  Community Relatios、Independent Commission Against Corruption)と面談(写真8
@1974年設立の委員会。それ以前は、政府内汚職蔓延。警察内の組織が反汚職を担当していたが効果なかった。警察のTOPが捜査対象となった際、国外逃亡し、大衆からの非難大。総督が独立機関設置。
AICAC条例により設立。直接、行政長官に報告。他の政府機関とは全く独立。
B多くの国の汚職取締は公共機関だけ。香港では民間セクターにも及ぶ。
C法律に基づいて、政府の各部門の手続きを見ることができる。抜け穴を見つけたら、どうやって訂正するかを提案できる。
D汚職の防止の為の具体策を詳細に説明される。
Eスタッフ・リクルートの基準について尋ねたところ、異なった経験を持った人が必要との指摘。アドミニストレィティブ・オフィサー
  は、あちこちの部門に行き、専門家とシナジーできる。



10:30 エディー・フォン(Mr Eddy FONG)証券取引等監視委員会委員長(Chairman、Securities and Futures Commission)と面談(写真9左端
@委員会のスタッフは460名。証券取引に課されている課徴金が委員会の財源。
A証券取引所で扱う45%は大陸の会社。北京と密接な対話必要。
B香港では、キャピタル・ゲインには一切税かからない。
Cインサイダー取引の監視状況について詳しく説明される。香港では、会社の役員が自社株の売買をする時は公示する必要あり。取引所に通知し、ウェブ・サイトにのせる。会社の実績発表の一ヶ月前には売買できない。
D今一番の注目点は、投資家の保護。個人投資家が多いので教育必要。特に、年金生活者はリスク忘れがち。
E大陸は、文化・コーポレートガバナンスが違う。一旦、香港に上場したからには、香港に従ってもらう。

写真8 写真9


11:45ドクターヴィクター・フォン(Dr Victor Fung)香港・日本経済委員会委員長(Chairman、Hong−Kong−JapanBusiness Co−operation Committee)と面談(写真10
写真10 写真11

@香港・珠江デルタの経済発展の状況について詳細に説明される。4000万人の人口を持つ後背地を持つに至った。中国経済を動かしているエンジンの一つ・
A中国の立体地図で今後建設予定の道路網を詳しく説明される。構想力に脱帽(
写真11
B世界の将来は、日本と中国の関係で決まる。特にオピニオン・リーダーと言われる人々の協力大事。
C環境面での技術協力は?
  2年位前まで、安い労働力、安い資源でエネルギーを作っていた。日本の3倍の非効率性。胡主席、温首相 質の高い成長。効率の高い成長、バランスのとれた成長、生産性を上げることで成長しようという路線に変わっている。
D知的財産権の保護は?
  執行には時間がかかる。国家レベルでは大丈夫。地方政府レベルでは保護難しい。香港でブランド登録し、大陸で問題起きた時、香港で裁判を起こし、判決をとるやり方もある。←私も弁護士ですので、大変興味深い意見。
E中国の課題?
イ.貯蓄率高いが、銀行システム活かせない。外国賃金必要。
ロ.過去5年、500億ドル〜600億ドルの直接投資がなされている。これにより、経営ノウハウ、知的財産がもたらされている。
ハ.中国企業海外へ出て行く。その先で知識を持つとこと組むことが大事。
  博士は、ハーバード大学で教鞭をとられていたこともあり、説明が明快で大変分かり易かった。また大実業家でもあり、話のスケールが本当に大きく、学ぶことの多い楽しい会談でした。(
博士の執務室の窓から写真12


14:30ヘリコプターツワーの予定でしたが、飛行場上空のみ天候不順で飛べませんでした。楽しみにしていたので、大変残念。車で香港島の展望台まで登り、眺望を楽しみました。(写真13,14
写真12 写真13 写真14
15:35香港立法議会で、議会連絡小委員会の5名の議員と面談。(写真15、16は控え室
エミリー・ロウー議員は、昨年、立法議会環境委員会のメンバーとして来日した際、東京でお会いしていたので大変なつかしかったです。日・中関係、日本と香港との友好、香港の選挙制度と民主化問題等について率直な意見交換ができました。
 日本・香港友好議員連盟で、毎年相互訪問をしたらどうかとの提案がありましたので、持ち帰って、検討することにしました。

立法会議員
@ハワード・ヨン(Hon Howard Young) 自由党(Liberal Party)
Aエミリー・ラウ(Hon Emily Lan) フロンティア(The Frontier)
Bフレッド・リー(Hon Fred Li) 民主党(Democratic Party)
Cルイ・ミン・ワー(Hon Lui Ming−Wah)
Dジェフリー・ラム(Hon Jeffery Lam) 自由党(Liberal Party)
写真15 写真16
16:30アーチー・ツィム(Mr Archie TSIM)香港証券取引所最高財務責任者(Chief Financial Officer、Hong KongExchanges&Clearing Ltd)と面談(写真17
@香港で唯一の取引所。システム全般にわたり説明される。
A出来高 2005年1日183億香港ドル。2006年1日332億香港ドル 2007年1日600億香港ドルと取引額が急増加。
B中国の工商銀行は昨年、上海と合わせて2300億香港ドルを調達した。我々にとって大変良い年であった。
C銀行と証券が一体でないと香港では競争に勝ち残れないか?
  香港上海バンク、シィティバンク、ドイツバンク皆、銀行と証券統合している。商品を客に届けるパワーが違う。客にOneSTOPで商品を提供でき、工商銀行のような大型案件の場合、証券会社のみでは小さくて引き受けられない。また、新規上場後、企業があまり上手くいかない場合、銀行が直接支援することができる利点がある。
D日本の場合、銀行と証券の監督が分離しているが?
  香港でも銀行はHKMAが、証券はSFCが監督しているが、銀行が証券も統合してやっている場合、SFCはHKMAに監督権限を渡してしまう。
Eクリアリングに関して、欧米はT+1だが、日本はT+2で、一日不明確な部分がある。取引にスピード感がない。
F大陸の不良債権処理のメカニズムについて?
 大陸の銀行が香港に上場しようとする時、不良債権を資産管理会社に売ってしまう。上場の初日、バランスシートに不良債権はない。しかし、その後国は何も保証しない。大陸の社会保障ファンド、年金ファンドは株主になっている。
G大陸の預金の活用方法は?
  投資用品の開発必要。香港・上海同時上場しなければならない。中国銀行の金利は1.8〜2.0%なのに配当は3〜4%ある。

写真17
18:00 Harbour Lights&Lei YUE Mun SeafoodVillage DinnerCruise(写真18〜22
通訳の中村さんから、シャコがおいしいから、絶対食べるようにとアドバイスされましたが、コースが決められており食べられませんでした。心残りです。

写真18〜22
   1月17日
9:15 吉村真琴 香港日本人商工会議所会頭・香港三井物産且ミ長と面談
@香港の経済状況全般について詳細な説明を頂く。
Aアジア・ゲートウェーイ構想の中味が良く分からない。香港こそまさにアジアのゲートウェーイだ。香港と協力して、というなら意味があると思うが、と厳しい指摘がありました。

10:30 トニー・イエン(Mr Tony YEN)香港政庁法案起草官(Law Draftsman Department of Justice)と面談(写真23)
@別紙(
下図)の「ORGANIZATION CHART OF THE GOVERNMENT OF THE HONG KONG SPECIAL ADMINISTR TIVE REGION」と「Organization Chart of the Department of Justice」とを使い、香港政庁各部門の役
 割を、丁寧に説明された。 互いに弁護士ということもあり、理解が深まった。
A16万人の公務員。法務官の下に300人の弁護士、内100人が検察官をつとめる。草案部門に40人。毎年30〜40本の法案提案。

写真23 図をクリックすると大きな画像で見られます
11:45ロビン・イップ(Mr Robin IP)香港政庁行政長官官房 政策室副主席顧問(Deputy Head、Central Policy Unit)(写真 24左から2人目
@年1回の行政長官の施政方針、今回の金融政策の重点事項について。プロジェクターを使って、懇切丁寧な説明を頂いた。
A政策室の業務内容は、無給の50名のパートタイマーと2週間に1回ミーティングを行う。先週の土曜日は、予算について話しあった。税金、財政状況、政府歳出について意見をすいあげて、政府の上層部に意見をあげる。
B大気汚染の原因は?
  発電所の火力が石炭であることと自動車、環境にやさしい車の導入が必要。
写真24
13:30 全ての行事を終え、グランド・ハイアットホテルをチェックアウトし、空港へ。

15:00通関手続きに手間取り、遅い昼食となってしまいました。空港内で飲茶を。出発のゲートが空港の一番端に変更になり、おみやげを買う時間がなくなってしまいました。

16:25キャセイパシフィック508便で、成田へ。

20:00成田着